美濃部りん(みのべりん)。「おりん」
落語の神様と呼ばれた古今亭志ん生(ここんていしんしょう)の妻です。
古今亭志ん生は落語の実力が有名なのは言うまでもありませんが、同時に説明されるのが素行の悪さです。
「呑む、打つ、買う」が並ではなく、芸以外のことに関しては手が付けられないほどの荒れようでした。
志ん生とおりんが結婚したのは、志ん生が売れ出す前で、師匠とケンカをして落語すらできなかった時期もありました。もちろん志ん生は他の仕事をするわけではありません。
おりんの苦労は大変なものでした。
間違いなく綺麗な言葉では表現できないほどの苦難の数々だったはずです。
「落語の神様」は妻おりんなしでは誕生しなかったのではないでしょうか。
今回はそんな美濃部りんの生涯をたどりながら、その生き方や夫婦について学んでいきたいと思います。
どうぞ最後までお付き合い下さい。
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美濃部りん(みやべりん)/おりんと古今亭志ん生
おりんと古今亭志ん生(ここんていしんしょう)が結婚したのは大正11年(1922年)です。志ん生32歳、おりんが25歳のときでした。
関連記事:古今亭志ん生の生涯!落語の神様の名言や逸話~いだてんはビートたけし
凄すぎる素行の志ん生に耐えるおりん
志ん生は結婚してすぐに、おりんの嫁入り道具を質入れして吉原に遊びに行くような男です^^;
酒が途切れることもなく、関東大震災が起きると、揺れて酒が落ちると悪いといって家を飛び出して酒屋に入ります。
当たり前ですが酒屋も商売どころではないので、志ん生は勝手に好き放題酒を飲み、泥酔に帰ったこともあったようです。
当時おりんは妊娠中だったそうで、さすがに腹が立ったということです。
ヤバすぎますよね、、、^^;
もちろんある程度は覚悟して結婚したはずですが、おりんの忍耐力は凄まじいですよね。
極貧生活を支える美濃部りん(おりん)
晩年の志ん生と美濃部りんさん
出典:asahi.com
私生活では本当にダメダメな志ん生ですが、落語への熱意は並ではありませんでした。
しかし師匠とぶつかる、借金をしてもそのお金で博打をするなど、問題行動が多く、上から引き上げてもらうことは一切ありません。
収入は少なく、美濃部家は極貧生活が続きました。
ついには夜逃げして、「なめくじ長屋」と呼ばれる、虫やなめくじが大量に出るボロボロの家に住みます。
それでも生活はやっていけず、おりんは懸命に内職をして家計を支えました。
なめくじですよ...
蚊もすごくて、蚊帳がなければ生活できないほどだったそうです。
そんな生活だったにも関わらず、おりんはどんな気持ちだったのでしょうか。
志ん生のどんなところを信じて生きたのでしょうか。
落語家の才能を感じていたのでしょうか。
それとも夫を支えるという信念だけだったのか。
いずにしても、とてつもない志ん生への愛情がなければ、夫婦生活を続けるのはできないですよね。
志ん生は幸せ者です(^^)
落語家のおかみさんとして弟子・子供たちを応援する
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志ん生が売れるようになると、弟子がつくようになります。
志ん生は独演会を開くと、あっという間に超満員になるほどの売れっ子落語家となります。
おりんは「おかみさん」、「おかあさん」などと呼ばれ、弟子たちを支えました。
夫の志ん生ほど素行が悪いお弟子さんはいなかったでしょうが、、、
貧乏や売れないことに悩む弟子たちは多かったはずです。
そんな弟子たちを、おりんは温かく支えました。
お正月には多くのお年玉を渡したそうです。
また、志ん生とおりんは二男二女を授かります。
子供も落語家となります。
長男清さんは、10代目金原亭馬生(初代古今亭志ん朝)、次男強次さんは、3代目古今亭志ん朝として活躍しました。
夫志ん生だけではなく、多くの落語家を支援し続けたおりんは75歳で亡くなりました。
直後に8代目文楽(志ん生のライバルであり親友)も亡くなると、親の死に目にもあわなかった志ん生がふせぎこんだそうです。
志ん生にとっておりんの存在がどれだけ大きかったがわかります。
今は一緒のお墓に眠っています。
大河ドラマいだてんのおりん役は池波志乃(いけなみしの)さん
出典:thetv.jp
大河ドラマ「いだてん」の美濃部りん(おりん)の配役は池波志乃(いけなみしの)さんです。
俳優中尾彬さんの奥さんですね。
おしどり夫婦としても有名です。
実は池波志乃(いけなみしの)さんは、美濃部りんの孫に当たります。
志乃さんは本当のおばあちゃんの役を演じることになります。
志乃さんは20年ほど女優業を休業していましたが、今回再開することを決意されました。
志乃さんは35年前にもおりん役を演じられました。
1983年の昼ドラ「おりん」です。その時も孫である志乃さんがおりんを演じました。
志乃さんは幼いながらも、美濃部りんを見ています。
志乃さん以上にリアルなおりんを演じられる人は他にいませんね(^^)
最後に
美濃部りん(おりん)の生涯を垣間見てきました。
やはり考えてしまうのは、「おりんが志ん生を支える原動力はなんだったのか、苦しい生活の中で信じた光はなんだったのか」ということです。
2人には子供がいましたので、幼い子供を守らなければなりません、苦しいなどと言っていられなかった、そうも言えます。
昔の女性は夫についていく、黙って耐えるのが普通だった。
そういったイメージもあります。
しかし、昔の女性はそうだったでは片づけられない気がします。
私が感じるのは、
「おりんは志ん生の落語への情熱、真っ直ぐな姿勢を信じ、大切にし続けたのではないか」
ということです。
どんな時でも芸だけには真摯的な志ん生、その一点を守ることがおりんの信念だったのではないか。
綺麗ごとかもしれません。
しかし、よほどの確固たる気持ちがなければ、そんなに苦しい生活に耐えられないと思うのです^^;
間違っているかもしれませんが、私はそんなふうに思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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